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特集AIとこれからの学び

AIの進化は、あらゆる分野にさまざまな変化を与えている。その現状と、予想される可能性や影響について、3学部の教授に見解を聞いた。

人間学部 神谷俊次教授

感情は人間固有のものプログラミングによる「感情表出」とは違う

  • 人間学部 神谷俊次教授

人間学部における心理学的な学びと人工知能は、切っても切り離せません。優れた人工知能をつくるには、人間の情報処理を十分に解明する必要があります。人工知能の研究では「ロボットに感情を持たせることができるか」というテーマが長年議論されています。認知心理学では、自分の置かれた状況に関する情報処理によって感情が生み出されるという考え方がありますが、その過程を解明して「このような場面に遭遇したら、この感情を言語的に表出させる」と人工知能に組み込んだとしても、それは「感情表出」の一側面に過ぎません。人間の感情は言語的なものだけでなくもっと多面的です。学生にも、そうした人間特有のおもしろさを学んでほしいですね。

都市情報学部 亀井栄治教授

総合力が問われる都市計画においてAIは有効な手段

  • 都市情報学部 亀井栄治教授

文系と理系が融合した都市情報学部では、AIのシステムを構築する側ではなく、使う側に立ったAIの仕組みや可能性を教えています。
私の専門の都市計画では、都市問題の解決の手段としてAIを活用しています。都市計画はさまざまな分野の専門家の総合力でプロジェクトを推進する必要があり、福祉や財政、法律などのソフト面から、建築物、構造物、道路などのハード面まで多岐にわたるため少数の専門家の力だけでは実現できません。ベースとなる知識を整理し、蓄積する点においては、AIによるディープラーニング(深層学習)が得意とするところ。多方面からのアプローチによって一番良い結論を得る方法として、AIはとても有効な手段だと捉えています。

農学部 鈴木康生准教授

篤農家の技術を人工知能へ品質の向上や人手不足解消につながる

  • 農学部 鈴木康生准教授

私の研究分野である果樹園芸学において、果実の収穫、摘果、選果や剪定等で人工知能の活躍が期待されています。現在の農業分野の最大の課題は、後継者不足により篤農家の技術が失われていくこと。現段階では、人工知能が篤農家の技術を完全に再現することは難しいと思いますが、まずは、篤農家の技術を人工知能にインプットし、後世に伝えることが重要です。そうした取り組みが、最終的に農作物の品質の向上や人手不足解消につながっていくと思います。ただ、人工知能が発達するといっても、やはり人間が上位にいないといけません。農学部の学生には、何事に関してもまずは自分が経験し、それを次へ伝えることの重要性を教えていきたいですね。