特設サイト第120回 あいち健康の森 薬草園

愛知県薬剤師会主催イベント「薬草園のはじまり」のご紹介

あいち健康の森薬草園は、愛知県保健医療局生活衛生部医薬安全課が所管する施設で、開園から10周年を迎えようとしています。薬草園の維持管理は、愛知県薬剤師会が株式会社日誠とともに指定管理者として行っています。

この薬草園は、名古屋城にあった「御薬園(おやくえん)」をテーマとして、長く議論を重ねて整備されたものです。1610年、二代将軍家忠公の頃、尾張藩の居城として清州城から名古屋城へと移し、その本丸北側にあった「御深井(おふけ)」とよばれる湿地帯に広大な庭園があり、その一角に将軍から拝領した薬草を植えて「御深井御薬園」が開設されました(1645年、家光公の頃)。荊芥(けいがい)や地黄、人参など39種の薬草を拝領し、それらを含めた115種の薬用植物が「尾張藩御深井御薬園絵図」に描かれており、その頃の広さは約3,350坪あったそうです。

8代将軍吉宗公は、人参を購入するために国内から銀が流出することを憂い、また庶民の医療環境の改善を目的として人参の国産化計画に着手し、日光にある直轄地で人参を種から育てることに成功し、各地に栽培を奨励したそうです。この逸話が人参(Panax ginseng)の基原植物名にある和名「御種人参(オタネニンジン)」に残っています。尾張藩では、当主の宗春公が吉宗公から拝領した人参7本と甘草10本を御下屋敷に植えたとされています。これが「御下屋敷御薬園」の始まりと言われ、普請組寄合の三村森軒が人参御用を命じられ、その栽培を大成功に導き、良質な人参の栽培秘伝書をまとめたと伝えられています。

あいち健康の森薬草園は、幾度かの計画見直しや中断を経て、愛知県職員や愛知県薬剤師会の皆さまやのボランティア活動もあって、竹や笹が茂る土地を苦労して整備し、今に至っています。愛知県薬剤師会が主催するイベントも月に一度は行っていますし、薬草園スタッフの皆さまによるたくさんのイベントには多くの県民が足を運んでくださっています。県内の薬系大学の教員も園の運営やときにはイベント担当にも関わっていますので、機会があれば、いや機会を作って参加してみてはいかがでしょうか。

どうぞよろしくお願いいたします。

(2025年4月4日)

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