経済学部/産業社会学科科目 Pick Up
現代資本主義論
現在、世界的に、格差や貧困、過重な労働が問題となっています。これらの問題は、現代資本主義の構造―特にグローバル化を前提とする企業収益構造、および国家のあり方―の変化と大きく関わっています。この授業では、日本に即して、現代の諸問題を現代資本主義の構造との関連で捉えていきます。
地方財政論
日本の地方財政システムは、これまで中央集権的な性格を色濃くもってきました。しかし、グローバリゼーションの進展とともに一方では地域社会のもつ重要性が高まり、ローカリゼーションの流れが加速化しています。日本の地方財政も、より分権的なシステムへの転換に迫られています。この講義では、地方分権の現状と問題点、情報公開や住民参加の手法、官と民との新しいパートナーシップのあり方、少子高齢化や情報化が地方財政に与える影響など、転換期の地方財政の基本問題について、国際的?歴史的視野から講述します。
地域経済論
私たちは、名古屋あるいは名古屋大都市圏といわれる地域で生活していますが、必ずしもその実態を十分に把握しているわけではない側面もあります。そこで名古屋大都市圏?東海地方の産業と地域経済について、さまざまな視点から詳細にその特徴を講義します。地域の産業構造とその変化、都市や大都市圏の形成と発展、輸送用機器産業を中心とした製造業などを題材としながら、まずは地元の地域経済の歴史的展開や産業の存立基盤、課題などについての理解を深めることを目的としています。
交通論
鉄道や航空、海運などの交通産業は、製造業など他の産業とは異なり、政府の関与(交通政策)の役割が大きい分野です。例えば、鉄道会社は自らの判断で自由に運賃を決定することができず、公的規制が行われています。一方で、過疎地域のローカル線に対しては公的補助が行われています。なぜ、民間企業である鉄道会社に対して、政府は干渉するのでしょうか? 「鉄道が社会にとって重要だから、公共性が高いから」ではありません。本講義では、近代経済学の理論を用いて、このような交通政策の根拠と課題、そして望ましいあり方を考えます。
農業経済論
農業に携わる人々の減少、耕作放棄地の増加、それに伴う農村の荒廃など、日本農業は多くの問題を抱えています。世界に目を転じると、南北アメリカやオセアニアに位置する一部の国々では極めて効率的な農業生産が営まれ、安価な農産物が日本を含む多くの国々に輸出されていますが、自然環境への負荷が大きく、農業生産の持続性が懸念されます。アジアやアフリカの農村では貧困の克服が依然として重要な課題です。このように農業や農村をめぐる心配事はつきませんが、農業無くして人類の未来がないことは自明です。安易な解決策はなく、私たちはこの資本主義社会の中でそれを探らなければなりません。農業経済論では、技術と歴史の視点を重視しながら資本主義社会における農業の存立構造を明らかにし、農業をめぐる諸問題の解決策を模索します。
国際フィールドワーク
経済のグローバル化は一層深化しつつあります。諸外国と我が国とのあいだの相互理解を強化して良好な関係を構築していくことは、今後さらに重要となりましょう。こうしたなかで皆さんも、将来を見据えて、諸国の文化?歴史?政治?経済?産業?企業などの理解を深め、国際的センスを獲得していく必要があるのではないでしょうか。この科目では実際に諸外国を訪問して、これをじかに知り、現地学生等との交流を進め、英語でのプレゼンテーションや討論にもチャレンジします。
社会フィールドワーク
経済は生きもののように動き、成長します。経済学はその動きの中にある法則を明らかにし、それを説明する理論を作ります。しかし、できあがった理論が常に正しいとは限りません。間違った理論が作られることもあれば、時代の変化によって通用しなくなる理論もあります。ですから経済理論は、それが本当に正しいかどうか、検証され続けねばなりません。その検証の方法の1つがフィールドワークです。企業活動を調査したり、経済活動の現場にいる人にインタビューしたり、産業遺産を取材したりして、さまざまな経済の現実を自分の目でとらえ、理論が本当に経済の動きを説明しているかどうかを確かめる。説明できていないようであれば、新しい理論を自分で作ってみる。社会フィールドワークはそのような科目です。