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特集高効率?長寿命深紫外LEDの技術開発

高効率?長寿命な「深紫外LED」の開発で
ウイルスの不活性化とCO2削減に挑む

 新型コロナウイルス感染症の拡大により、公衆衛生に対する意識は大きく変化し、消毒?殺菌技術への社会的ニーズが急速に高まっています。そのような中で今、注目されているのが「深紫外線照射による消毒」です。今回は、深紫外線の次世代光源として期待が集まる「深紫外LED」の技術開発に取り組む竹内先生に話を伺いました。竹内先生が主導する「高効率?長寿命深紫外LEDの技術開発と細菌?ウイルス不活化および脱炭素効果の実証」は、環境省の欧洲杯足球网_十大博彩公司-投注官网3年度「革新的な省CO2型感染症対策技術等の実用化加速のための実証事業」に採択されています。

竹内 哲也 教授

理工学部 材料機能工学科
光デバイス研究センター センター長

竹内 哲也 教授

Tetsuya Takeuchi

1992年名古屋大学修士課程修了後、ヒューレット?パッカード日本研究所に入社。1999年名城大学博士課程修了後、米国Agilent Technologiesに出向。2004年キヤノンに移り、2010年より名城大学准教授に着任、2015年より教授。窒化物半導体などのIII-V族化合物半導体の結晶成長および発光ダイオード(LED)?レーザダイオードの開発に30年近く従事。

深紫外線殺菌技術とは

 紫外線は、波長が400ナノメートル以下の人の目には見えない電磁波の総称です。その中でも280ナノメートル以下の光が「深紫外線」と呼ばれ、高い殺菌能力が認められています。水や空気の殺菌をはじめ、産業や医療分野などでの活用が進められており、昨今は新型コロナウイルスの感染制御技術として注目を集めています。細菌やウイルスは細胞分裂によって増殖し、人への感染?発症へと至ります。この増殖に必要な遺伝子情報を持つのが細胞内に存在する細胞小器官の一つ、細胞核(DNA、RNA)です。深紫外線を照射することによってこのDNAやRNAの構造を変化させ、細菌やウイルスを不活化させる、つまり増殖を抑制できることが判明しています。これは、従来から脅威となっている病原体はもちろん、新型コロナウイルスや今後発生する新規病原体の感染制御技術としても有効である可能性が高いとされています。そのため、深紫外線照射が水処理施設や空気清浄機に用いられれば、ワクチンと補完的な役割を担うことができ、ポストコロナ社会における安心?安全なライフスタイルの確立につながるのです。

深紫外線の次世代光源として期待される「深紫外LED」

 深紫外線を発生させる光源として、これまでは水銀ランプ(紫外線ランプ)が使われてきました。水銀ランプは、比較的効率が良く、安価に作ることができる光源ですが、サイズが大きく寿命が短いことに加え、以前より水銀の人体や地球環境への有害性が大きな問題となっています。そこで水銀ランプに替わる次世代の光源として期待されているのが「深紫外LED(UV-LED)」です。環境負荷の高い水銀と比べ、人体や環境への影響が少ないだけでなく、コンパクトで省エネ?長寿命という可能性を備えています。

水銀ランプ(紫外線ランプ)と深紫外LED(UV-LED)の比較水銀ランプ(紫外線ランプ)と深紫外LED(UV-LED)の比較

深紫外LEDの技術開発状況と課題

 深紫外LEDの材料には、2014年ノーベル物理学賞受賞の故 赤勇特別栄誉教授が発明した高効率青色LEDと同じ窒化物半導体が使われています。青色LEDではガリウムと窒素を結合した半導体を使っていますが、深紫外LEDでは、260~280ナノメートルの短い波長の光を発生させるために、アルミニウムを加えた窒化物半導体(AlGaN)を用います。水銀フリーへ向けた取り組みが世界規模で進み、SDGsの目標「つくる責任つかう責任」の観点からも、AlGaN系半導体を用いた深紫外LEDの開発が盛んに行われています。しかしながら、現時点ではまだ水銀ランプの代替には至っていません。その大きな要因が「効率」です。青色LEDの効率が70%以上であるのに対し、深紫外LEDの効率はわずか数パーセント。水銀ランプと同程度の寿命でしかなく、価格が高いという点も実用化のハードルになっています。一方で、青色LEDの効率も開発当初は数パーセントであり、その後のさまざまな技術開発により高効率と低コストを実現しました。この深紫外LEDにおいても同様の技術開発が期待されています。

欧洲杯足球网_十大博彩公司-投注官网3年度「革新的な省CO2型感染症対策技術等の実用化加速のための実証事業」について

名城大学が中心となり4大学?2企業の知とノウハウを結集

  • 開発中の深紫外LED基板

 本事業は、深紫外LED実用化の課題となっている高効率化?長寿命化に向けて「技術開発」を推し進め、その技術を用いた細菌?ウイルス不活化の検証および、水銀紫外線ランプを深紫外LEDに置き換えることによるCO2削減効果の「実証」を目的としています。
 実施に当たっては、赤﨑教授と長年にわたり共同研究を進めてきた豊田合成株式会社、さらには名古屋大学、東北大学、東京大学、WOTA株式会社が参画し、上述した多岐にわたる「技術開発」と「実証」のための実施体制が実現しています。名城大学内においても、農学部応用生物化学科の林利哉教授と連携し、学部の垣根を越えた全学的な研究体制を構築しています。

技術開発におけるテーマは高効率化と長寿命化

 効率については現状の数パーセントを10%へ高めること、寿命については数千~1万時間を3万時間まで伸ばすことを目標値として掲げています。
 深紫外LEDの最終的な効率(外部量子効率)は、下記の三つの効率によって決まります。効率を高めるためには、この式にある各効率を全て高めることが必要ですが、私たちは「光取り出し効率」の改善が鍵になると考えています。

 「光取り出し効率」は、LEDの内部(AlGaN発光層)で発光した光が外部へ出てくる効率を指し、この数値には光の集まりやすさを表す、材料固有の「屈折率」が影響します。屈折率が高いほど光が集まりやすいことから、空気よりも屈折率の大きなAlGaN層で光が発生しても、その内部で光が反射してしまい、効率よく光を外部に取り出すことができません。そのため、AlGaN層と空気の屈折率差による反射を和らげる工夫が必要になります。また、内部で発生した光を、複数の方向から取り出すのは非効率であるため、一方向から集中して取り出す工夫も必要です。
 すなわち、LEDの上部P側構造では光の反射率を高め、光を外に取り出す側の下部n側構造では光の反射率を和らげる、LED素子内の反射率を技術開発により、低い方から高い方まで自在に制御するという発想です。これは効率70%を実現した青色LED構造の設計コンセプトでもあり、深紫外LEDにおいてもこのコンセプトを具体化するために、名城大学や名古屋大学が有する独自技術を活用します。

本事業深紫外LED構造と各要素技術?構造

 発光層の光は全方位に分散します。そこで、高反射電極を作る、光の通り道も透過率が高い材料で作るなど、光を一方向に集める工夫を施し、その方向には透明(低反射)電極を作ることで、効率よく光を取り出すことを目指しています。

 次に長寿命化ですが、深紫外LEDにおいては、初期劣化と長期劣化が観測されています。長期劣化は青色LEDで培った知見をベースに対策を進めています。一方、初期劣化に関しては効率低下に対して影響が大きいものの、現時点では、明確な発生原因が解明されていません。さまざまな条件下での劣化素子による実験結果を眺めて仮説を立てながら検証を進めているところです。

本事業の独自性?優位性

 本技術開発では、高効率青色LEDと同様の構造を新材料「AlGaN」に横展開し、名城大学が長年にわたり構築してきた青色LEDや半導体レーザの独自技術を活用する点が大きな特徴です。
 また、技術開発に留まらず、実用化を視野に入れ、利用が期待される環境?場所での実証まで行うことも、本事業のもう一つの意義と言えるでしょう。計画では、完成した技術をもとに高性能深紫外LED殺菌ユニットを作製し、水?空気?表面に対する細菌?ウイルス不活化の有用性を1年にわたって検証していく予定です。この1年という長期の検証により、装置の長期稼働の検証のみならず、季節によるウイルス出現率の変化などへの対応も検証可能になります。
 水処理においては、浄水施設での常設に加えて、災害現場や国立公園などでの可動式水処理装置における検証も実施します。空気清浄においては、LEDの特徴を生かしたコンパクトかつメンテナンスの容易な殺菌ユニットによる実証を進め、使い勝手も高めていきます。表面殺菌においては、食肉等を主対象に微生物の不活化などを検証し、食に対する安全も高めていきます。このようにCO2削減を達成しながら、安心安全なライフスタイルの確立に貢献していきます。

本技術の応用例

 本技術開発?実証を通じて、水?空気?表面に存在する細菌?ウイルスを容易に不活化する機器の実用化を目指します。

深紫外LED効率10%が目指すもの

 コロナ禍による深紫外線照射技術のニーズの高まりを受け、水処理装置や空気清浄機などの出荷台数が大幅に増えれば、それに伴うCO2排出量の増加は必至です。本事業を足掛かりに、水処理装置や空気清浄機に搭載する水銀紫外線ランプを深紫外LEDに置き換えることができれば、水銀フリーのみならず、小型?高効率?長寿命?瞬時動作?低コストのメリットを享受でき、また間接的には製造から運搬、使用、廃棄までのすべて工程において省資源?省エネルギー化が可能になります。現在、2050年に向けてCO2をはじめとする温室効果ガス排出ゼロに向けた動きが全世界で加速しています。私たちが掲げる深紫外LED効率10%という目標は、目指すべき最終ゴールにはまだまだ遠い数字ですが、今この10%を実現しなければ、将来の50%、60%につながらないのも事実。2050年の目標達成のためにも、何としても実現したいと考えています。