大学概要【2024年度実施分】多様性への認識?理解促進のための取り組み

経営学部

多様性への認識?理解促進のための取り組み
実施責任者:田代 樹彦

本事業は、多様性とその包摂(ダイバーシティ&インクルージョン)への認識と理解を深め、それらの推進に積極的?主体的に関わることのできる学生の育成を目的にしています。具体的には、多様性に関する理解を深めるための各種講演会、ダイバーシティ&インクルージョンに意欲的に取り組む企業、あるいは地域共生社会実現に向けた先進的な取り組みを実施している地域、多様な背景を有する学生の受入れや就学支援を積極的に進めている教育機関等への訪問?聞き取り調査を実施します。そのうえで、名城大学における多様化とその尊重、包摂をどのように進展?拡充していくべきなのかを考えていきます。

ACTIVITY

ニュージーランドの4つの優先に学ぶ多様性

2024/05/31

 2024年5月16日、及川孝信氏(キウィ?ジェイ?アナ社代表)による講義が開催されました。題目は「ニュージーランドを深く知るセッション」で、16人の参加者が講師と相互対話を通じて講義が展開されました。及川氏は日本とNZの両国の事情を熟知していることもあり、貴重な「現地からの声」を盛り込んだ刺激的な講義でした。
 はじめに講師が紹介したことは、過去30年でニュージーランド(以下NZ) は、急進的な社会政策が進み、経済?政治的停滞から、自由で活気ある社会に変貌したそうです。最近では、国名や国旗の変更を問う国民投票があったそうです。これらの例から、NZは国民が声を上げれば社会も変えられると国だということが伝わりました。
 本編では「家族最優先」、「労働者最優先」、「個人の学び優先」、「市民最優先」の4つのキーワードを用いて、日本とNZの違いを解説しました。NZ社会では子供と家族を社会の基盤と位置付けていて、子供の人権と福祉を守る法律があり、有給休暇や育児休暇が保証されています。また、残業や時間外労働は基本的にはなく、仕事の効率化が進んでいます。NZの学校では知識の詰め込みよりも、個人の能力を引き出すことを重視しています。個人が意見を言うことや、グループ活動の導入で学生主体の学びを重視しています。さらに、あらゆる場面で学習の道具としてITを活用しています。そして、NZ社会では公共意識を養う傾向があります。例えば、NZの人々は就労時間外のボランディア活動に積極的に参加し、参加することが期待されています。
 最後に、日本とNZの違いを振り返りました。この講演を通じて、参加者はNZが人々の多様な生き方や思考を尊重していることを学び、30年間で著しい成長を遂げたNZに大変驚いていた様子でした。

参加者の質問に答える及川氏

参加者による発言

参加者同士での議論の様子

講演後の集合写真

ネパールと日本におけるネパール人の起業家活動とその影響(2024年10月16日開催)

2024/10/31

 今回の講義では、講師のアスタ?トゥラダール氏により、ネパールに関する基礎知識から日本とネパールの関係まで、多岐にわたる内容について講義していただきました。
 特に学生の関心を引いた例は、レストランに関するものでした。日本には現在約8000軒のネパール料理店が存在し、これらの店舗は単なる飲食の場を超え、ネパールコミュニティの中心的な役割を果たしています。特に深夜営業を行う店舗は、仕事帰りのネパール人にとって重要な食事場所となっています。また、ネパール人だけでなく、日本人や他国の人々にとっても文化的な交流の場となっています。日本人がネパール料理店を訪れる理由は、ネパールの文化や料理への興味からであり、これが異文化理解の一助となっています。さらに、ネパール料理店の多くでは、オーナーが土地を購入して店舗を設置しており、これはネパール国内の状況とは異なり、日本では外国籍の方でも土地を購入できることが起業の基盤になっている例です。
 レストラン経営者は、日本の文化に適応するためにいくつかの工夫をしています。例えば、日本では個人で食事をする傾向が多いこともあり、一人用のテーブル配置が来店者の数の上昇に貢献したこと、日本人の味覚に合うように料理をアレンジするなどの対策など講義では触れました。特に、シーフードを使った料理は、内陸国であるネパールの料理店が、日本の顧客の嗜好にメニューを合わせた一例です。
 ネパール出身の日本在住者のうち、留学生として来日し、その後日本で就職する人が多いことも二国間の特徴です。さらに、農業分野や観光産業にも進出しています。観光業を支える宿泊施設では、ネパール人スタッフが英語や日本語を駆使して対応しています。ネパールの教育では英語が主要な媒介言語とされており、多くの若者が海外での就労を目指しています。
 これらの例を通じて講師が強調した点は、20代での起業が珍しくないこと、さらに起業が単なる金銭的利益のためではなく、社会の需要を見出し、それに応えることだという点です。参加者はネパールがすでに日本の身近な隣国になっていることを確認できた講義となりました。

講師のアスタ?トゥラダール氏。ネパールの芸術にも造詣が深い。

在日ネパール人起業家についての説明をするトゥラダール氏

日本におけるネパール人の飲食業についての説明の一場面

在日ネパール起業家の数と分野は幅広い

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