ナノサイエンスの先駆者?飯島澄男終身教授
記者19人が参加 近況や最先端の応用研究について語る
2022年のノーベル賞は10月4日(火)に物理学賞、5日(水)に化学賞が発表されます。これを前に、カーボンナノチューブ(CNT)の発見で受賞が期待される飯島澄男終身教授が9月7日、オンラインで東京や名古屋の記者との懇談会を開催しました。13社、19人と質疑応答が交わされ、飯島終身教授は近況や最先端の応用研究などを語りました。
サイエンスのおもしろさも伝える
飯島終身教授がNECの研究員時代にCNTを発見してから30年余り。CNTの出荷量や市場規模が年々拡大するなか、その応用事例を尋ねられた飯島終身教授は、実用化が進む分野として「エレクトロニクス関係がおもしろい」と指摘。乳がん検診などに活用される小型のエックス線発生装置が製品化されていることや、リチウムイオン電池の材料など電池関係に多く使われていることなどを紹介しました。
CNTに懐中電灯の光を当てると音が出る様子のデモンストレーションもカメラの前で披露しました。「音が出るのはなぜでしょう?」と記者たちに問いかけながらも、「電話を発明したベルが1881年にこの現象を報告している。光を当てると周波数を遮断するため音が出る。CNTは黒いので光をよく吸収して温まりやすく、熱伝導率がいいので速やかに冷えるので、より大きな音が出る」と分かりやすく解説し、サイエンスのおもしろさを伝えていました。
また、自然科学分野の中国の論文数が世界1位になったことについて、1978年から中国の研究者と交流が続いているという飯島終身教授は「なるようになってきたのでは。人の能力に差はなく、環境や教育で差が出る。中国では教育を受けて伸びる人が出てきている。しかも人口は13億人で日本の10倍。人材を育てるためにもっと金をつぎ込まなくては、日本は危ないと、声を大にして言いたい」と力を込めました。
縁ができて40年 「名城大学に感謝しかない」
近況についても尋ねられ、「コロナ禍でずっと大学にいて、(電子顕微鏡を用いた結晶構造の研究など)CNT以外の研究に手を出して大忙しで、大学院の講義も半期だけ受け持っている」と飯島終身教授。趣味のフルートは11月の学園祭で出演を依頼されたといい、「恥ずかしくないよう毎日、音を出している」。最後に、名城大学と縁ができてからの40年について記者から問われ、「名城大学のプロジェクトに参加し、先生方と交流があったこともCNTが見つかった一つの要因。影響は大きく、感謝しかない」と振り返っていました。
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