6月9日日曜日、柳沢3年ゼミ10名が英語劇を鑑賞しました。
作品は現代イギリス劇作家の筆頭、ハロルド?ピンターの『背信』(Betrayal, 1978)。この戯曲は1970年代のロンドンを舞台に繰り広げられる「二組の夫婦をめぐる裏切り」がテーマ。
柳沢ゼミでは台本を精読し、しっかりと予習してこの劇鑑賞に臨みました。鑑賞後はフィードバックを兼ねて親睦会を開きました。
一つの作品をみんなで議論しあい、大変有意義なイベントとなりました。
台本分析
事前準備として、各自で『背信』の台本を読み、気になった場面やセリフを抽出、考察を添えて共有ファイルに書き込んだり、気になった英語表現を確認しあいました。
英語劇鑑賞に臨む
2時間の大作でしたが、予習の成果もあり、みんな真剣に鑑賞していました。
初懇親会へ
演劇鑑賞後は、柳沢3年ゼミ初の親睦会。
レンタル?スペースで、焼肉やたこ焼きパーティーをしました。みんなで協力して食事の準備をしました。これまであまり話す機会がなかったゼミメイトたちも、鑑賞した演劇の話をしたり、お互いのことを質問しあったりと、親睦を深めていました。
演劇鑑賞後のコメント
?ゼミナールで先に読んでいた『背信』を実際に見て、やはり表情や声音がわかる方が読むだけよりも物語にのめり込めると思った。ジェリーとエマが会話するシーンの時、ロバートが舞台裏に捌けずにあえてすぐ後ろのセットで座っていたが、ああいった演出にしたのはなぜなのだろうと思った。ロバートがいないシーンなのにロバートがジェリーとエマの不倫を辛そうに見ていたり、ジェリーがいないシーンなのにジェリーがエマを愛おしげに見ていたりしているのを劇中に見た。さらにそのシーンに出演している役者も出演していない役者の方を見て話している部分もあった。だからいない役者がわざわざそういった表情作りをする理由やいない役者に向けて話しているように見せた理由などが気になった。エマがロバートのキスを拒否したあと、ロバートが観客側に背を向けて俯くシーンが非常に印象的だった。その後さらに、エマが抱きしめてあげたときにはロバートは泣き始めていた。そこでロバートが泣いていた理由が、ただエマにキスを拒まれたからだけではないと思った。劇全体を通して、エマはロバートと結婚していながらジェリーと不倫をしていたわけだが、ケイシーともしていた可能性があると思った。だからエマが思っていた以上に不安定な立場にあると思った。恐らく罪悪感を感じていながらも複数の男と関係を持っていると思うと異常さを感じた。
?文章で読むよりも、劇で見た方が迫力があり違う印象を受けた。表情から文章にはない「こんな気持ちなんだろうな」と想像することもでき、劇ならではの魅力を感じることができた。エマとジュリーのラブシーンを見ているロバートの顔が辛そうだった。また、お客さんの反応もあいまってすごく面白かった。授業内で予習をしていたため、より深く内容を理解できよかった。またシーンによって変わる服装やセットなどが見応えがあり面白かった。
?脚本を見て想像していたものと舞台で見るのとでは違いました。演じてる2人以外の1人の目線や表情で 考察できるところがあって面白かった。エマとロバートがなんで結婚したのかがわからなかった。脚本を読んだ際には自分はロバートが悪いのではないかと思っていたけれど、舞台を見て全員のいいところ、悪いところが見えてきて、舞台を通して自分の考え方が変わった。私は、ジェリーの不倫が妻にばれていたと思う。ジェリーは、不倫を知られていたことに気づいてなかったり、妻が不倫しているかもしれないことに気づいていなかったり、鈍感だと思った。
?『背信』を劇で見た。本で読んだときとはまた違った感想を感じることができた。特に第一場と第二場は小説で読んだときよりもまだ愛想があるというか、感情があるというか、最初に読んだときはもっと暗くて覚めた感じがしたので驚いた。劇の後でみんなが語っていた、ジェリー、エマ、ロバートの外の恋愛の矢印の向き方は自分だけでは気づかなかった。考察しがいがあるというというか様々な受け取り方ができて、僕たちが見た範囲だけでは簡単に、登場人物の印象を語るのは難しいと思った。
?劇『背信』を鑑賞して疑問に思った点があります。舞台上に椅子が着替えのセットに添えて3つ並べられていましたが、中央の舞台上に2人いる時、椅子に1人座ってる時の視線や表情の違いが気になりました。例えばジェリーとエマが仲良さげに話しているシーンではロバートは気まずそうな顔をしており、ロバートとエマが話している時のロバートはエマを愛おしげな表情で見ているように感じられました。ここまでも演出の配慮がなされていることにとても感心しました。
?演劇を見て印象に残ったのは、まず場面転換の際の欧洲杯足球网_十大博彩公司-投注官网のアナウンスだ。オリジナルの脚本にはない演出だが、そのアナウンスがあることで物語の時代を鮮やかに思い描くことが出来る効果があり、とてもおもしろいと思った。また実際に登場人物が出てこない場面でも舞台に控えて表情を作っていたり、回想のシーンを影絵で表現したりしていたシーンもとても印象的だった。加えて演者の英語がイギリス英語らしい響きをしており、脚本のテクストからだけでは推測しにくい部分の演出があったため非常に楽しむことができた。また演劇を鑑賞した上で、改めて脚本を見直してみたい。
?ハロルド?ピンター作『背信』の演劇を鑑賞し、鑑賞前の小説分析から想像していたストーリーと実際に演じられていたもので合致した内容と異なる演出もあり、終始作品を楽しんだ。小説の読者は「言葉」のみで自分の想像力から作品のストーリーを考え楽しむが、小説が演劇化された作品に対して観客は、言葉に加えて「目と耳」を使いストーリーを予測しながら楽しむことができる。この特性を存分に使用した作品がこの『背信』だと感じた。『背信』では、エマ?ジェリー?ロバートの三人でストーリーが展開され、彼らを含め他の登場人物も、特徴や詳細は彼らの言葉や表情による説明のみであった。そのため、小説ではエマとジェリーの会話でロバートが何を考えていたのかなど、各場面で描かれないキャラクターの心情は読者個人の想像の世界でしかなかった。しかし今回の演劇では、エマとジェリーの場面でロバートが二人の会話を聞いて俯く表情を見せたり、エマがジェリーとの会話の中でロバートの話題を出す際にその場にいるわけではないが、劇場の奥で座っているロバートの方を見たりしていた。このような演出から、小説では各場面で描かれないキャラクターが、その場面を第三者目線で見ていた場合の彼らの心情を、演劇特有の表現として表しているように思った。
さらに、このストーリーに登場する全てのキャラクターの本心や事実が完全には描かれていないところが、作品の不思議かつ面白い点だと感じた。エマとロバートは夫婦であり、エマとジェリーは不倫関係にあるが、ロバートとジェリーは昔からの友人であり、不倫関係が続く中でも彼らの関係は表面上友好に見えた。その理由に、三人の登場人物がそれぞれに依存し、心の拠り所となっていたからだと考えた。ロバートの場合は、エマに不倫されているがジェリーに友情以上の好意を見せ、ジェリーの場合は、妻ジューディスの多忙さからエマに癒しを求めているように感じた。この男性二人の心情は小説や演劇から比較的容易に理解?想像することができたが、一方で、エマの本心は最後まで理解することができなかった。エマはロバートとの夫婦関係を続けながら、ジェリーとも不倫関係にあり、ケイシーとの関係も匂わせていた。エマは、関係を持つ男性が全員がエマに好意を持っており、「誰」からの好意という人ではなく、「三人もの男性から好意を持たれている」という事実にエマ自身が酔っていたのではないかと考えた。エマとジェリーのアパートでの密会シーンでは、エマが「ジューディスをレストランで見た」という話を切り出し、ジェリーの反応を窺っていた。エマは、ジューディスと自分を比較し、ジェリーに自分(エマ)の方に好意があると言って欲しかったのではないかと感じた。そのため、ジェリーがジューディスについて話している最中の表情は、女性特有の嫉妬心が表れていたように思った。しかし、これは観客のただの推測にしかならず、エマの本心は一度も明かされることはなかった。このように、登場人物の本心を全て明かすのではなく、観客が劇中や鑑賞後に自身の想像から、「自分なりのストーリー」を作ることができる作品構成が、読者や観客を作品に引き込む技術の一つだと思った。今回鑑賞したハロルド?ピンター作『背信』の演劇は、作品自体の世界観に加え演劇オリジナルの演出により、ストーリーを最大限に楽しみながら表象文化作品の技術的表現方法も学ぶことができた作品であった。"
?『背信』を鑑賞して脚本で読むよりも演劇の方が自分のイメージしているものがより明確になった感じがした。また3人の登場人物の中でエマの気持ちが1番理解できなかった。キスを拒んだ後ハグをしたり、罪悪感があるのはわかるがそれを含めてもよくわからなかった。またロバートはバイセクシャルなのではないかと考えた。実際それをほのめかす発言をしていたが実際浮気を許した理由はエマではなくロバートとの関係だけは切りたくなかったのだと思う。
また英語で演劇を観たのは初めてでそれも自然な表現などを学ぶことができてよかった。
?様々なシーンがリアルに表現されてて感動した。特にキスシーンでは、躊躇うことなくしているのを見て役者さんってすごいなって思った。物語の中で、ロバートとエマは三股していることが分かってとんでもないなと思った。ジェリーが周りの見えていない馬鹿な役であることをよく表現していたと思った。
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