カーボンニュートラル研究推進機構が第1回シンポジウムを開催

テーマは「名城大学が歩むカーボンニュートラル達成への道」

講演する吉野彰名誉顧問(終身教授) 講演する吉野彰名誉顧問(終身教授)

本学が2022年4月に立ち上げた「カーボンニュートラル研究推進機構」の第1回シンポジウムが10月10日、「名城大学が歩むカーボンニュートラル達成への道~総合知が生み出す未来へ~」をテーマにオンラインで開催されました。研究推進機構の名誉顧問を務める吉野彰終身教授による講演やパネルディスカッションが行われ、約300人が視聴しました。メディアも3社が取材しました。

シンポジウムは、2050年に温室効果ガスの排出を全体として実質ゼロとする「カーボンニュートラル」を達成するため、本学の研究推進機構としてどのような方針で進めていくべきかを探ろうと企画しました。初めに小原章裕学長があいさつし「このような機会が有意義なものとなり、カーボンニュートラル達成のための社会の一路となれば」と期待しました。

「カーボンニュートラルの実現には社会システムの見直しも必要」と吉野終身教授

続いて吉野終身教授が「カーボンニュートラル社会の実現に向けて」と題して講演。カーボンニュートラルに向けた世界の動向と日本の研究開発や、水素やアンモニアなどの再エネキャリア、どうしても削減できない温室効果ガスを吸収や除去で差し引きゼロにする「ネガティブエミッション」などの現状や課題について解説しました。

そのうえで吉野終身教授は「カーボンニュートラルの実現には技術の開発だけでなく、社会システムの見直しも必要となり、社会学や経済学など人文科学の知識、テーマも必要となってくる」と指摘しました。また、太陽光発電などの再生エネルギーを安定して供給するために「蓄電池システムが必要だがコスト的に難しく、普及が進むEV(電気自動車)のバッテリーを活用するのが合理的。いかにうまく活用するか考えるべき」と提言しました。

「専門知と総合知によるブレイク?スルーを目指して」と題しパネルディスカッション

「専門知と総合知によるブレイク?スルーを目指して」と題したパネルディスカッションには、吉野終身教授に加え、機構長の平松正行副学長、政策グループリーダーの森杉雅史都市情報学部教授、環境グループリーダーの吉永美香理工学部教授、新素材グループリーダーの内田儀一郎理工学部教授がパネリストとして登壇し、副機構長の大野栄治副学長がコーディネーターを務めました。

この中で、吉野終身教授はQRコードの開発と無償供与で物流など経済システムが大きく変わった例を紹介し「単に技術の開発だけでなく、全く違う分野の研究者が組むことによって新しい技術やシステムが生まれた。まさに『総合知』」と述べ、今後の機構が進むべき方向を示唆しました。さらに吉野終身教授は「社会人になったらカーボンニュートラルの問題が必ずつきまとう。カーボンニュートラルに対して学生たちはどこまで真剣に議論できたかが重要になってくる」と強調しました。

  • パネルディスカッションに臨む吉野終身教授 パネルディスカッションに臨む吉野終身教授
  • 1時間にわたり熱心に議論したパネルディスカッション 1時間にわたり熱心に議論したパネルディスカッション
  • (左から)大野栄治副機構長(副学長)、平松正行機構長(副学長)、吉野終身教授 (左から)大野栄治副機構長(副学長)、平松正行機構長(副学長)、吉野終身教授
  • (左から)森杉雅史都市情報学部教授、吉永美香理工学部教授、内田儀一郎理工学部教授 (左から)森杉雅史都市情報学部教授、吉永美香理工学部教授、内田儀一郎理工学部教授