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2021/11/08

全日本大学女子で5連覇、終始トップの完封リレー Vol.3

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自信を持った布陣でチャレンジ

今年も駅伝シーズンが幕を開けた。10月31日に第39回全日本大学女子駅伝対校選手権大会が開催され、名城大学欧洲杯足球网_十大博彩公司-投注官网は23年連続23回目の出場。前回大会では4年連続5回目の優勝を果たし、今回は史上最多タイとなる5連覇に挑んだ。今大会も宮城県仙台市の弘進ゴムアスリートパーク(仙台市陸上競技場)をスタート、仙台市役所前市民広場をフィニッシュとする6区間38.1kmのコースで行われ、オープン参加1チームを含む全26チームが参加。気温17度、ほぼ無風という絶好のコンディションで午後0時10分のスタート時を迎えた。
米田勝朗監督は前日の記者会見で「走ってほしいメンバーには故障もなく、体調も良い。昨年以上にいい状態で明日を迎えられると思う」と話し、昨年の優勝メンバー5名に1年生1名を加えた布陣が自信を持ってスタートラインに立った。

1区で3年ぶりの首位発進

ラスト1kmで後続を突き放す山本選手

1区(6.6km)は山本有真選手(3年)。10月17日の諫早ナイター記録会(長崎)で5000m15分33秒45の自己新、今季のタイムとしてはチーム内で最も良い記録をマークして好調ぶりを示し、この区間を任された。レース序盤はスローペースで推移し、山本選手は集団中ほどの位置をキープ。ラスト1km付近で日本体育大学の保坂晴子選手が仕掛けたが、山本選手はすぐに対応、保坂選手をかわして前へ出ると、後続を突き放す走りでトップでタスキを渡した。中継点で2位松山大学と7秒差だった。山本選手は前回大会の2区や今年9月の日本インカレ1500mで保坂選手に1秒差で敗れてきたが、今回は雪辱を晴らす区間賞獲得だった。「日本体育大学の選手は意識していて、負けたくない気持ちはありました。重要な区間を任せてもらい、責任を果たせて良かったです」と山本選手。名城大学にとっては2018年以来3年ぶりに1区をトップで発進した。

2区、3区の4年生コンビで勝負決める

圧倒的なスピードに追随を許さない松選手

主将として日本一のチーム引っ張る和田選手

2区、3区は松智美ムセンビ選手と主将?和田有菜選手の4年生コンビ。4年連続出場の両者は2年前にも同じ区間を走っており、「経験豊富な2人にこの区間を任せ、ここで勝負を決める」(米田監督)という目論見で、他大学が前半区間から勝負をしかけてくることも想定したオーダー編成だ。
最短3.9kmの2区はチーム随一のスピードを誇る松選手が最初の1kmを3分03秒とハイペースで入り、力強い足取りで最後まで走破。自身が2年前に打ち立てた区間記録を19秒も塗り替える区間賞の走りだった。「今季は調子が上がらず、メンバーに入るのも難しいと監督に言われた時期もありましたが、そこから切り替えてやっていくことができました。支えてくれた仲間の想いに感謝しています」と苦しい時期を乗り越え、この大会で最高のパフォーマンスを見せた。
続く3区(6.9km)では和田選手が危なげない安定した走りでトップを独走。タスキを受けた時点では2位日本体育大学との差が23秒だったが、次の中継点では1分19秒の大量リードに拡大した。「絶好の位置でタスキをもらい、やるしかないという気持ちでした。これまでの3年間、この仙台の地では思うような走りができていませんでしたが、今回リベンジを果たすことができたのではないかと思います」。中継点手前では笑みをこぼし、次の走者へタスキを渡した。区間成績は21分51秒の区間賞。和田選手にとっては1年時の1区(コース変更前の6.4km)以来の区間賞で、最後の全日本大学女子駅伝を締めくくった。

4区の1年生も区間新記録の快走

堂々とした走りで信頼に応えた谷本選手

4区4.8kmを走るのは谷本七星選手(1年)。上級生が築いた独走態勢をメンバー唯一の1年生が引き継いだ。最初の1kmを3分09秒とルーキーらしからぬ大胆な積極的レースを展開。終盤に少し苦しい表情を見せたものの、最後まで力を振り絞り中継点へ。「途中まで楽しく走れましたが、最後はきつくなりました」と振り返ったが、15分37秒と従来の区間記録を1秒塗り替える見事な区間賞だった。「自分だけでなく、みんなの1秒だと思って削り出せました。区間記録が更新できたのはみんなのおかげです」と初めての大学駅伝で充実の表情だった。

エース小林、最長区間で貴重な経験

エース区間での激走を見せた小林選手

最長9.2kmの5区を担ったのは小林成美選手(3年)。この区間は今の春卒業した加世田梨花選手(現?ダイハツ)が4年間務めたため、現チームの選手にとっては未知のステージ。今年7月に10000mで11年ぶりの日本学生新記録を樹立するなど押しも押されもしない存在となった名城大学の新たなエースが、各校の有力選手が集まるこの区間を任された。
中継点で2位日本体育大学に1分29秒差のトップを走る名城大学は、この区間でも独走状態。小林選手は5kmを16分15秒で通過した。2位以下の順位は目まぐるしく変動し、大東文化大学の鈴木優花選手(4年)が5位から2位にチーム順位を押し上げる走り。さらに、拓殖大学の不破聖衣来(1年)が6人抜きでチームを3位に浮上させる激走を見せた。不破選手が28分00秒、鈴木選手が28分59秒といずれも区間新記録で区間1、2位を占め、小林選手はこれに続く29分28秒の区間3位だった。
小林選手は夏場の疲労が抜けず、体調不良で状態が完全ではなく、米田監督もコンディションについてやや不安を抱いていたことをレース後に明かした。10000mで来年の世界選手権(米国?ユージン)の参加標準記録(31分25秒00)を突破し、シニアの世界大会出場を現実的な目標と考えるレベルになった小林選手に対し「世界選手権を本気で目指すのなら、こういった場面でも逃げてはいけない」と伝えた上で本人の意思を確認し、小林選手自身がこの区間を走る覚悟を決めての出走だった。「他のメンバーが区間賞、区間新でつないでくれましたが、自分が流れを止めてしまいました。反省して、もう一度立て直さないと、と思います」と自身の納得する結果ではなかったが、責任を全うした小林選手。メンタル面の強化に注力したいと話し、今後の成長を誓うレースとなった。「逃げずにチャレンジしてくれたことが今後につながると思います」と米田監督も新エースを労った。

アンカーも攻めに徹して区間新

前回大会に続き区間賞の増渕選手

最終6区(6.7km)には増渕祐香選手(2年)が起用された。タスキを受けた時点で2位大東文化大学と2分07秒の大差がすでに開いていたが、増渕選手は守りに入ることなく終始積極的な走りで22分14秒の区間新記録を樹立。前回大会(4区)に引き続き区間賞を獲得した。5区終了時点のチーム通過タイムは1時間40分45秒で、昨年(1時間40分26秒)よりも19秒遅れており、昨年樹立した大会記録の2時間02分57秒へ到達するのはかなり難しいかと見られたが、増渕選手の力走であと2秒にまで迫る総合2時間02分59秒でフィニッシュ。5年連続6回目の優勝を果たした。増渕選手は5本の指を立て左手を大きく開いた「5連覇」のポーズで栄光のフィニッシュテープを切るとチームメイトから胴上げされ、「アンカーという大役を任せてもらったことがうれしいです。最高の5連覇です」と笑顔がはじけた。

史上2校目の5連覇達成

5連覇は大会史上最多タイの快挙

米田監督は「力を出し切り、普通に走ることができれば勝てるとは思っていましたが、連覇に対してプレッシャーがあったのも事実です」とレース後に吐露したが、終わってみれば1区から1度も首位を譲らない完封リレー。1区から4区まで連続区間賞でつなぎ、ライバルたちに影も踏ませない圧倒的なレースだった。

前日の記者会見で指揮官がチームのカギとして挙げていたのは2区、3区を走った松選手?和田選手の最上級生2人。高校時代から全国トップクラスで活躍し、名城大学でも4年間常にチームの中心的役割を担ってきた両選手について、「早いもので、この2人がもう最終学年」との感慨も洩らしていた。今年の欧洲杯足球网_十大博彩公司-投注官网を率いる和田主将、松副主将が今大会でもチームを牽引し、監督も「結果的にこの2区、3区で勝負を決めたという印象」と2人の功績を称えた。和田選手は「日本一のキャプテンになる、という思いでこの1年間やってきました。シーズン前半はキャプテンという肩書がマイナスになっていましたが、これをプラスに変えようと思えたことがきっかけで、自分と向き合えました。夏合宿期間にケガをしていた時期も、去年までならマイナスの気持ちで取り組んでしまっていましたが、キャプテンという立場を考えて自分を奮い立たせることができました」と主将としての責務を自らの競技へつなげていったことを話した。

この大会での5連覇は、2011年?2015年の立命館大学に並ぶ史上最多タイ。過去に6回以上連続で勝利を重ねたチームはなく、名城大学は今後、その最多記録更新を目指して戦っていくこととなる。 3年生の山本選手は「来年、自分が最上級生になった時に、最多優勝記録の目標が目の前にあることになるので、今回はそれも考えながら一生懸命走れました」と、これからの希望も胸に秘めていたことを話した。また、1年生の谷本選手は「私が4年生の時に8連覇、(4年で代替わりする大学スポーツの)2まわりの優勝という偉業が達成できるよう、先輩たちの伝統を受け継ぎたい」とさらに先までを見据えた。

「1、2年生の谷本、増渕が区間新というのは来年以降につながるいい走りだったと思います」と米田監督は下級生の活躍で今後への自信もみなぎらせている。4年間で選手の入れ替わる大学スポーツにとって「4連覇と5連覇では全然意味が違う」と以前より話していたように、過去と未来をつなぐ重要な1勝となった。
走ったメンバーばかりでなく、補欠の荒井優奈選手(3年)、鴨志田海来選手(4年)も万が一の場合に備え万全の準備で当日を迎え、そのほかの部員も全力のサポートでチーム一丸となってつかみ取った勝利。「『学生たちには、こんなに力があるんだ』と見直しました。やってきたことは間違いではないと確認できたと思います。いい駅伝だったと思います」と米田監督も表情をゆるませ、「大会後に選手の悔し涙を見ずに過ごせているのはありがたい。私が監督をしている間は学生たちの笑顔だけを見ていたい」としみじみ語った。
次なる目標は12月30日の全日本大学女子選抜駅伝(富士山女子駅伝)。こちらは現在の4年生が1年生の時に初優勝を果たした大会だ。ここで勝てば、4年生は駅伝で一度も負けることなく卒業することになる。駅伝無敗の最初の世代の誕生を目指し、残り2ヵ月を突き進んでいく。