いよいよ駅伝シーズンが目前に迫ってきた。全日本大学女子駅伝対校選手権大会(通称?杜の都駅伝)は10月25日、今年も宮城県仙台市で開催される。2020年は新型コロナウイルスの感染症拡大でさまざまな対応があった中、この大会は9月29日に主催者の日本学生陸上競技連合から開催決定がアナウンスされた。
名城大学欧洲杯足球网_十大博彩公司-投注官网の米田勝朗監督は「大会というのは、選手たちがこれまでやってきたこと、努力してきたことを発揮する大切な機会です。今年は延期、中止になった大会も多く、選手たちは先行きが見えず不安で練習に身が入らないという時期もありましたが、『杜の都駅伝が開催されるときにはしっかり走れるように準備していこう』と言い聞かせて取り組んできましたので、本当に良かったと思います」と今年も大会が実施されることを喜んだ。
3連覇を果たした昨年のこの大会を走った選手は全員、今年のチームに残っている。昨年メンバーに入れなかった選手の中にも調子が良い選手は複数おり、新戦力も台頭して充実の一途。4年連続5度目の優勝に向けて視界は極めて良好で、「私の指導者人生の中でも、今年はかなり良いチーム状態になっていると思います。昨年以上に強さが増しているような感触があります」と米田監督も自信のほどをにじませている。
この夏は7月下旬から8月中旬頃までの前半期、8月中旬から9月上旬までの後半期と、フェーズごとに課題を設定して走り込んできた。前半の期間は脚作りをテーマに起伏のあるコースを選び、クロスカントリーなどで距離を踏んだ。後半期間にはやや距離を減らし、質を高めたメニューを実施。感染症拡大防止に細心の注意を払い、例年通りにいかないこともあったが、大きなケガをする選手もなく、充実したトレーニングを積むことができた。
夏の走り込み期間を経て、9月11日から13日まで新潟市のデンカビッグスワンスタジアムで開催された日本インカレ(日本学生陸上競技対校選手権大会)に出場。他大学の選手を相手に現在の力を確認できる機会で、名城大学は旋風を起こした。
大会初日の1500mでは髙松智美ムセンビ選手と和田有菜選手の3年生コンビが優勝、準優勝を分け合う幸先のいい幕開け。2年ぶり2度目の栄冠に輝いた髙松選手は「前半シーズンはなかなか思うような走りができず不安でしたが、夏に質の高い練習が積めて自信がありました」と喜ぶ一方、タイムは髙松選手が4分23秒18、和田選手が4分24秒12だったこともあり、「勝てたのは良かったのですが、4分20秒を切って1位、2位を取りたかった」と、より高いレベルを求めた。
同じく初日の10000mでは主将の加世田梨花選手(4年)と小林成美選手(2年)が、33分33秒30と33分35秒54でワン?ツーフィニッシュ。荒井優奈選手(2年)も8位(34分36秒75)に入り、トリプル入賞を達成した。
加世田選手は「名城大の強さを見せるために、主将として結果を残したかったです。優勝が目標だったので、うれしいですし、ホッとしています」と笑顔で話し、成長著しい小林選手は、「ラストで先輩に負けたのは少し悔しいのですが、全国大会のレースで先頭を走れたのがいい経験になりました」と振り返った。
加世田選手は最終日の5000mでも16分15秒08で2位に入り、前期シーズンの不調から完全復活。「夏場にやってきた練習は間違いじゃなかったと思えましたし、後悔はありません」ときっぱり話した。
日本インカレではこのほか、5000mで井上葉南選手(3年)が18位。山本有真選手(2年)は1500m予選レース後に左かかとを痛め、1500m決勝と5000mを棄権する無念の結果に。しかし、この悔しさが次なる飛躍のバネになっていく。
杜の都駅伝まで残り2週間となった10月11日、長崎県諫早市で行われたナイター記録会(通称?諫早ナイター)の5000mと10000mで、名城大学の選手たちはさらに充実した走りを見せた。1週間前、日本インカレと同じ新潟市で開催された日本選手権(1500m)に続く連戦だった髙松選手と和田選手を除く主力メンバーの大半が自己新記録をマークしたのだ。
主将の加世田選手は10000mで学生歴代7位となる32分04秒99を記録。後輩の小林選手が今年7月、北海道のホクレン?ディスタンスチャレンジ網走大会で打ち立てたばかりの8年ぶり東海学生記録(32分08秒67)を塗り替えた。
5000mでは、和田選手(15分40秒93)、小林選手(15分42秒31=自己新)、髙松選手(15分50秒26)、日本インカレでの故障から立ち直った山本選手(15分50秒60=自己新)の4人が15分台。また、1年生の増渕祐香選手が16分00秒11、チームのムードメーカー的存在である3年生の鴨志田海来選手も16分12秒61の自己新記録で続くなど、分厚い戦力で突き進むチームの勢いを大いに印象づけた。
加世田選手、髙松選手、和田選手のトリオに、今年は2年生の小林選手も加わった〝4枚看板?は非常に強力で、他校の追随を許さない。さらに、昨年までの駅伝経験者、成長著しい新戦力もおり、チーム内での駅伝メンバー争いはより熾烈になっている。
10月上旬、中尾真理子コーチは杜の都駅伝への構想として、「昨年走ってくれた選手にはやはり信頼感があり、今年もメンバー候補の筆頭だとは思いますが、大会までに他の選手がすごくいい走りを見せるかもしれませんので、まだ誰が走るかはわかりません」と話していた。その直後の諫早ナイターにおける各選手の絶好調ぶりを見れば、スタッフがそう悩むのも無理はない。
主力選手同士の争いも激しく、「例えば、加世田はこれまで『5区(杜の都駅伝の最長エース区間)を走れるのは自分しかいない』と思っていたはずですが、小林の台頭で気が抜けなくなっていると思います。チーム全体にそういう緊張感がありますね」と、米田監督は高いレベルで切磋琢磨しているムードに目を細めていた。
2大女子駅伝の初戦となる10月25日の仙台決戦に向け、チームの仕上がり状況は「想像以上にいい」と米田監督も中尾コーチも口をそろえ、これまでの取り組みに確かな手応えを感じている。
本番では予期せぬアクシデントがない限り4連覇は濃厚とみられ、「ただ勝つということだけでなく、どういう勝ち方をするかが今年のテーマになるでしょう。単に優勝するというだけなら、今のチーム力なら十分に実現可能なことかもしれません。ですが、そういう気持ちの甘さを持たないように、内容にこだわりたいと思っています」と米田監督は話す。
大学生の枠にとどまらず、「実業団チームと比べても遜色ないくらい強いチームであってほしい」と期待を寄せている指揮官には、1区からすべて区間賞の〝完全優勝?も視野に入っているようだ。
主将として、エースとして、仙台では4年連続で最長区間の5区を走るつもりでいる加世田選手は、自らも区間新記録を樹立し、圧倒的な勝利で4連覇を果たすことを目標にしているが、チームを代表してこうも述べた。
「今年はさまざまな大会が中止になったりして私たちも落ち込んでいる時期がありました。だからこそ大会を開催していただけることがとてもありがたく、うれしく思います。今年は沿道での応援は自粛となっていますが、多くの人にテレビの前で観ていただき、何か感じてもらえるような、元気を与えられる走りをしたいです」
多くの方々の尽力や理解によって開催できることになった、特別な大会。選手たち走れることに感謝し、レースの日を楽しみにしている。
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